2013/12/31

2013年振り返り!!

さて、今年も終わりますなーてことで、現在新作に向けてリハーサル中ですが、一休みして紅白でも見ながら写真で今年を振り返ってみます。2014年も楽しく過ごせますように!

2013年1月 イスラエルダンサー、イドバタシュWS&ショーイング

このWSは本当に刺激的で、その後の僕の作品に多大な影響を与えました!




















2月 福岡ダンスフリンジフェスティバル参加
『カイロー』ショートバージョンでの九州初上陸!毎日なんか食べてました。。。























3月リアロドリゲスWS&ショーイング
リアとの出会いはその後の僕のダンスと、ダンスを取り囲む環境について深い影響を与えてくれました。 














4月『カイロー』ショートバージョン
Deviate.coのイベントにて


5月 京極朋彦ダンス企画『理想の森』

初めて8名のダンサーに出演してもらった作品。今までで一番大規模な公演でした。
とにかく楽しかったんだよねー














あと、家に鹿も出たよねー
 


















6月 なんてったって木ノ下歌舞伎『三番叟/娘道成寺』チリ、サンチアゴ公演!
サイコーでした!!




そして三野新さん写真展「Z/G」
本物のフクロウと共演、可愛かったなぁ
写真展でのパフォーマンス。ここから『幽霊の技法』の構想がめきめきと浮かび始めるのでした!














7月 KYOTO DANCE CREATION vol.2
二年目を迎えた京都で僕がプロデュースするダンスショーケース。今年は東京、京都、愛知、山口という幅広いメンバーが集結!2014年、第三回開催決定です!お楽しみに!






















8月 京都生協夏の学校WS

5歳~大学生まで入り混じった小学校でのWS。ほんとに心臓鍛えられましたよ。。。

















で、四ツ谷喫茶 茶会記にて『カイロー』再び



9月 3Dボディースキャナーを使用したパフォーマンス『Scanned Body』






















 あと9月はHAGISOでダンサーズカフェもありました!


10月 KYOTO EXPERIMENT 2013 Billy Cowie『Art of movement/Dark Rain』と木ノ下歌舞伎『SANMASOバババッとわかる三番叟』
怒涛の一週間、二本番。もうね、やるもんじゃないですよ。どっちも最高でしたが!



 


その直後、森下スタジオでWhenever Wherever Festival 2013で山崎阿弥さんと共演するも、写真がない。。。10月は忙しすぎました。あとアレハンドロのWSも10月だったね



11月 東山ダンスヤードと『幽霊の技法』リサーチWS開始

ダンスヤードもね、みんな夢中で写真ないよねー 笑
少しずつWSをすることにも慣れてきました。


で、HAGISO撮影で再びこれやることになったり















12月 森山開次パフォーマンス『Live Born』サポート
































そして行ってまいりました青森!

 
















青森国際アートセンターにて山崎阿弥さんの製作されたインスタレーションの中で共に踊りました。
本当にいい出会いに溢れた5日間でした!














そして『幽霊の技法』ワークインプログレス公演
これ本当にレクチャー教室みたいですが、踊りましたよ!















ということでざっくりと今年一年を振り返ってみると、毎月何かしらやってました。

忙しすぎたというか、急ぎすぎた感もあり、これは来年への課題でもあります。
ただ、やらなければわからなかったこともあり、前向きに、無駄なことは何一つないと信じて来年も頑張ります!

そして来年もどこかで、みなさんにお会いできることを願っております。
もうサブちゃんが歌い始めたのでこの辺で。2013年も残りわずか。来年も良い年でありますように!

 
 
 
 

2013/12/02

KYOTO DANCE CREATION vol.3 参加振付家募集開始!!

さて!来年もKYOTO DANCE CREATIONの開催が決定しました!
今年でなんと三回目、 vol.3!という事で今年はさらに面白い企画を目指して頑張ります!

前回プロデュースに徹した私も、今回は自作ソロで参戦。そしていま最も僕が競演したいと思っていた北尾亘さんに来てもらうことになりました!
北尾さんとは五年前ぐらいに同じ現場で知り合ってから、お互いの作品を見合ってきたという事もあり、念願かなっての競演となりました。

Baobabは、もはや京都でも名前が浸透していますが、今回招致した北尾さんが東京で展開しているD-incline projectは、Baobabの身体のみならず人間を描き、役者やダンサーなど多岐にわたる出演者を踊らせてしまう創作主軸から、より身体への意識を深めたクリエーションを行うことを目指した団体であり、その姿勢がKDCとマッチするのではないかと思い、今回お声掛けしました。
Baobabとはまた一味違った北尾さんの魅力がみられること間違いありません!

そして現在、この二組と競演していただける振付家を近畿圏(京都、大阪、兵庫、滋賀、奈良、和歌山、三重)から募集しています。今回はそれでも応募可能です。
詳しくはブログトップのKYOTO DANCE CREATION vol.3 参加振付家募集のページをご覧ください。

共に京都を、日本を、世界を面白くしていく人との出会いを、楽しみにしております!
まだまだ半年以上も先の事ですが、想像するだけでドキドキします!
沢山のご応募、お待ちしております。

2013/11/18

新作『幽霊の技法』に向けて

さて、東山ダンスヤードも無事終了し、一段落と思いきや、今週から『幽霊の技法』&リサーチワークショップが始まります。
このワークショップはどなたでも参加できるものです。
じゃあこの「リサーチ」とは何か?

今回僕は『幽霊の技法』というソロダンスを作るうえで、様々な人と関わりながら創作をしたいと思っています。
最終的な発表は僕自身が踊るソロダンスですが、前作『カイロー』を制作していたころ、あるいは自分の卒業制作『鈍突』を制作していたころから思っていることが一つあって、それは
「ソロダンスは一人で踊るものではない」
ということです。一人で孤独に稽古するにしても、それを支えてくれる人がいて、スタッフがいて、そもそも産んでくれた両親がいて、その踊りが世に出るまでにその人が生きただけの時間が流れ、出会った人の形跡が残る。それがソロダンスを立ち上がらせるのだと思っています。

そこで今回は様々な人と僕が、普段やっているボディーワークと、新作『幽霊の技法』に向けたワークの二つをシェアしてみたいと考えています。そこから出てきた様々な事が僕の体を通過して新たな「ダンス」が生まれてくることを期待したい。それが今回「リサーチ」とつけた所以です。

そしてそのワークショップ参加者に12月末に行われる途中経過発表を見ていただくことで、今回の東山ダンスヤードのように「ダンス」が生まれていく過程を見てもらいたいと思っています。

ワークショップ&公演、詳細情報、お申込みはこちらからどうぞ!

ではここで、そもそも僕が言う『幽霊』とは何か?という話をします。ちょっと長くなりますが。
 
そもそもの始まりは今年の4月頃、写真家の三野新さんがTwitterで新作の出演者を募集しているのを知り合いのRTで知り、会ったこともない三野さんに興味が湧き、メッセージを送ったのが始まりでした。
三野さんは写真家でありながら「ヒッピー部」というパフォーマンス団体の演出家でもあり、6月に行われるご自身の写真展のテーマが「幽霊」と「ゾンビ」についてでした。
 
もともと写真と身体の関係については興味があったこともあり、僕の方から共に作業をさせて頂くことをお願いし、写真展開催中に行われるパフォーマンスに出演させていただくことになりました。
 
三野さんのいう所の「幽霊」と「ゾンビ」はそれぞれポーズであるという所が、とても興味深く、どの角度の、どのポーズが「幽霊」や「ゾンビ」に見えるか?ということを探るために何十枚も写真を撮ったり、自動シャッターを切り続けながら動いたりして、写真の展示期間中にパフォーマンスを行いました。
 
そのことがきっかけで僕は以下のようなことを考え出します。

なんだかよくわからない、名づけ得ぬ動きを「動きの幽霊」と呼んでみる。そうなると何度も稽古して再生が可能になることを目指す「振付」とは、幽霊を名付けること、あるいはあんまり幽霊のこと考えずに「ゾンビ」になる事だろうか?
体は人間、振付はゾンビ、それらが重なりあるところにヒュ~っと現れる名付け得ぬもの。体と振付の間に立ち上がる一回きりのダンス。それらを呼び出すための「幽霊の技法」を探し出してみたい。(『幽霊の技法』フライヤーより)
 
ダンスとは「名づけえぬもの」であり、それをどのように証明することが出来るのか?という事は、ダンスに出会ってから常にある、僕の制作における一つのテーマであり、即興で踊ることからダンスを始めた自分にとって「振付とは何か?」とはここ一年、特に大きな問いだったわけで、三野さんとの出会いによって、それを「幽霊」と「名づけ」てみることで新たなアプローチが出てくるかもしれないと思ってこのタイトルを付けました。
 
そしてここ一年、集団創作や自分が出ない振付作品、ショーケースのプロデュースなどを経て、改めて自分の身体に向き合ってみようと思ったタイミングでもあり「ソロダンス」をリサーチワークショップという形式で作ってみようと思ったのです。
 
そしてこのタイトルを決めたところから(実際は来年1月、東京のショーケース出演が決まっていたのでタイトルは先に決めなくてはならなかったのですが)早速、興味深い展開が起きました。
 
その辺を僕自身のTwitter投稿からおさらいしてみましょう。
 
1
震災と原発事故以後、東京において、その距離感、虚無感から「死者」ではなく、「幽霊」「ゾンビ」がよく取り上げられたのではないかと思う。新作タイトル「幽霊の技法」を東京の人に話すと「その流れね」って反応されるが、京都だと結構無邪気に「幽霊?何それ?」っていう反応が帰ってくる。(続)
 
2
京都がお気楽だとか、東京の流行りがどうとかではなく、どこで、どこに向けて作品を発表するかを考えている。今回なんでもかんでも「幽霊」と呼んで、ケリを付けてしまう事からは一線を画したい。京都の闇が生む「幽霊」は東京の電力に照らされて、どう浮かび上がるだろうか?
 
震災後、東京と京都でだいぶ空気が違う事ことは肌で感じていましたし、今も感じています。
しかし東京で、やたらと「幽霊モノ」が流行っていたということは知らず、実際この「幽霊」という言葉がぞんざいに扱われているきらいがあるという事を東京の友人から聞いたりしたこともあり、タイトルを決めた時点で様々な事が露わになってきました。

しかし2にも書いた通り、そんなことは実はどうでもよいという気もしますが、とても興味深いのは既に様々な要因が重なり合って「ダンス」が生まれようとしているという事です。
 
僕の実家が東京であることが、自分がどこに向けて作品を発表するか?ということにやはり影響しているだろうし、京都が僕をダンスと出会わせてくれて、そこに10年住んでいることで考えることもあり、全て「ダンス」になっていきます。
そしてそれは大げさなことを言えば「生きてきた今まで」であり「生きていくこれから」でもあると思っています。なんでもかんでも「人生」と名付けてしまうことはちょっと危険ですが。。。

 
と、いうわけで京極朋彦ダンス企画「幽霊の技法」、まずは多くの人に京都でのWSとワークインプログレス公演に来ていただきたいと思っています。
 
そして本番は、来年1月、日暮里d倉庫にて。なおこのプロジェクトはソロからデュオへ、ゆくゆくはカルテットに発展しようとしています。京都での発表も計画中です。
 
久々の長文になってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
 
 

2013/11/06

命削りの秋

さて、怒涛の10月が終わり、11月から少しずつ新作に向けて動き出しました。
しかし去年も一昨年も10月、11月は本当に東京、京都間の往復が半端ないです。

面白いと思った事には何でも首を突っ込んでしまう性格もあってか、多少無理しても夜行バスで行き来を繰り返しているうちに、両方でお誘いを受けたり仕事が見つかったりするようになり、益々行き来が激しくなりました。こんなん若いうちにしかできないやろなぁと思いつつ、、。

そういえば先日、ダンス教育ラボというイベントに参加し、鈴木ユキオさん、田畑真希さんのワークショップと子供たちにワークショップをする際の経験談などを聴く機会がありました。

その中で鈴木ユキオさんが「芸術家は命を削って作品を作る」と仰っていました。まさにその通り。度重なる公演をこなしながら、自身のスキルアップと経験、更には営業と仕事。その全てをこなしながら、自分だけの踊りを模索し続けることは、命を削ることです。
結果、早死にするかもしれないですが、そんなことより生きているうちにやりたいことが山ほどある。見てみたいものが五万とある。

というわけで京都、東京間の往復も命削りの一環です。命削りって変な言い方ですが、無理のないように頑張ります。

そして来年の新作の特設ホームページが出来ました。
この公演は新人アーテイストがバイトやら仕事やらで稼いだお金でチケットを一定数買い取り、それを自分で売るというまさに命を削りのシステムとなっております(笑)
ので是非、チケットは各アーテイストから直接ご予約ください!


ダンスがみたい!新人シリーズ12
そして来週からは京都に帰り、アフタートーク、公演、ワークショップ、リハーサルと怒涛の日々が続きます。詳細は随時ブログにて更新いたしますのでぜひチェックしてみてください!

2013/10/18

気が付きゃ10月終わってる

さてさて、怒涛の10月本番ラッシュが終わり、京都に戻ってまいりました。
 
 
ビリー・カーウィーに始まり、木ノ下歌舞伎『三番叟』、WWfesと、本当に沢山の人との出会いがあり、忙しい中に素晴らしい瞬間が沢山ありました。
 
関わっていただいた方々、そして観客の皆様、本当にありがとうございました。
 
さてこれで一息、と思いきや行きつく間もなく明日から再び怒涛のスケジュールが始まります。
明日はBaobabのアフタートーク、そしてそしていよいよKYOTO DANCE CREATION vol.3キックオフミーティングが始まります。この企画も三年目に突入!来年も面白くします!
 
そしてそして来週は東京でワークショップ「身体能力向上委員会」を開催します。
コチラも2クール目。まだまだ参加者募集中です。以下に詳細を載せておきますので、奮ってご参加ください!
 
ということで、本当に休む間もなく走り続けておりますが、気が付けば10月も半ばを過ぎ、すっかり寒くなってきました。
皆様におかれましても、お身体、ご自愛くださいませ!
 
 
京極朋彦WS 「身体能力向上委員会」 ~東京編~
 
この度、京極朋彦は関東での新たなダンサー、俳優との出会いを求めてWSを開催することとなりました。

この「身体能力向上委員会」は京極が京都で行っていたWSシリーズで、このWSを受講していただいた方から京極作品に出演していただいた方もいる、実践型WSです。

内容は普段、僕がやっているボディーワークを中心にシェアし、各自の「身体能力」の向上に生かしていただければ、という会です。...

このWSでいう「身体能力」とは、高く飛べることや、ぐるぐる回れると言った、いわゆるダンスのテクニックの事ではなく、人が本来持っている能力、呼吸、発声、広義には「生きること」の中で、いかに自分の体に気付くことが出来るか?その気づきの能力を指します。

今回対象はダンサー、俳優問わず、体を使った表現活動をしている人達とし、特に、自分の「身体能力を向上したい!」と切に願う人の参加をお待ちしております。
今回のWSが普段やっている自分のトレーニングに、少しでもお役にたてれば嬉しいです。


不定期開催で、毎回会場は変わりますが、~東京編~ということで、東京を拠点として活動するダンサー、伊東歌織さんのご協力を得て、東京都内での開催が実現いたしました。
厚く、お礼申し上げます。新たな出会いを求めて、皆様のご参加をお待ち致しております。

京極朋彦

日時
10/23(水) 18:45~21:45 世田谷区近辺
10/25(金) 18:45~21:45 世田谷区近辺

料金 1500円

※会場は人数や内容により変更する可能性もございますので、
お問い合わせ、ご予約頂いた際にご連絡します。


ご予約はこちらのメールまで。
kyo59ws@gmail.com

京極朋彦(ダンサー・振付家)プロフィール

07年京都造形芸術大学、映像・舞台芸術学科、舞台芸術コース卒業。2006年、大学在学中、卒業制作として上演されたソロダンス『鈍突』が学科最優秀賞、および学長賞を受賞。 45分間、無音で踊られるソロダンス『カイロー』は東京、こまばアゴラ劇場、夏のサミット2010、KYOTO EXPERIMENT、TPAM in Yokohama 2011、Fukuoka Fringe Festival 2012、などに招聘され、国際交流基金支援事業「美的采風 北京 in 2012」 日中ダンス国際会議では、10日間、現地に滞在し、シンポジウム、WSと共に上演された。
WS講師としては2011年から毎年、京都東山青少年活動センター「演劇ビギナーズユニット」、2012年にはNPO法人Yokohama Art Platformのコーディネートによる小学校の授業や、2013年、京都大学との連携で行われた京都、童仙房、夏の学校にてWSを担当。
2012年 自身が振付、演出を手掛ける「京極朋彦ダンス企画」を設立と同時に京都から若手作家の作品発表と交流の場として「KYOTO DANCE CREATION」を立ち上げ、毎夏、京都にて開催している。2012年『talking about it』は同年STspot N.N.N3に選出された他、同年発表の『いったりきたり』はアトリエ劇研共催事業として上演、2013年『理想の森』は京都芸術センター発表支援事業に選出され、京都芸術センター講堂での単独公演を果たした。
京極朋彦ダンス企画ブログ http://kyo59solo.blogspot.jp/

2013/10/07

秋の芸術祭り!

さて、すっかり秋めいてきた今日この頃、皆様お元気でしたでしょうか?
現在京極は京都での本番に備え毎日リハーサルに励んでおります。

明日から開催されるKYOTO EXPERIMENT 2013 公式プログラム、ビリー・カウィー"Art of Movement" and "Dark Rain"は二年間、スコットランドの映像作家と共に育んできたプロジェクトの集大成です。美しい3D映像と作品世界をぜひ体感しに来てください。

また今週末には同じKYOTO EXPERIMENT 2013 公式プログラムである木ノ下歌舞伎ミュージアム“SAMBASO”~バババっとわかる三番叟~に出演いたします。
コチラも初演から5年。京都、横浜、サンチアゴを経て、母校である京都造形芸術大学、春秋座に帰ってきた木ノ下歌舞伎の魅力がギュッと詰まった作品です。

ということで、二作品のリハーサルを短期間に進めつつ、自身の活動も展開するという殺人スケジュールに追われる中、来年1月、自身4年ぶりのソロダンスを製作、発表することになりました。
自身の代表作である「カイロー」を超える作品になるよう頑張ります。
詳細はNEWS欄をご覧ください!

ともあれ実は来週は東京は森下スタジオでの本番も控えておりますし、再来週は京極朋彦WS「身体能力向上委員会」~東京編~第二クールも開催します。
どちらもNEWS欄に詳細を載せておきました。奮ってご参加ください。よろしくお願いいたします。

芸術の秋!体を壊さぬよう精進いたします!

2013/09/09

「身体能力向上委員会」と東京の体

さて、久々のブログを更新になってしまいました。
8月からのこの一ヶ月は東京に滞在し、今までとは異なる環境で自身の活動を見つめなおす良い機会となりました。その一つが9月から始めた「身体能力向上委員会」~東京編~です。

第一回の様子

 




第二回の様子



























もともと東京出身である私ですが、この10年ですっかり京都に慣れてしまいました。
今まで京都でダンスを始めて、自身の作品を作ったり、ワークショップやショーケースを企画したりしてきました。

でもそれは京都の人たちに支えられ、守られて実現できたことで、東京では勝手が違います。
更には東京という街は人口も多ければ価値観も様々、よりシビアな結果が求められるところだと感じています。

東京が日本の中心だという一昔前の考えはもはや無いにしても、やはり東京に「ある」ものは多いわけです。
東京で初めて自身のワークショップを開催してみて思うことは、今まで京都という独特の空気に守られていたもの、あるいはその空気の中で自覚していなかったことが、東京では明確に、辛辣に浮かび上がり、その功罪が自身にきっちりかえってくるということ。今までうやむやに誤魔化していたこと、無意識に目を背けていたこと、つまりは自分の弱い部分がきちんと公にされ、きちんとかえってくるという感覚があります。

自分は何者で、何をもって他者と関わるのか?自身の体の「輪郭」をハッキリと浮かび上がらせるような、東京の空気。

そしてその空気中に含まれる放射性物質に比例して原発や、放射能に対する考えや、意識も京都より高いように感じます。別にどっちがどうという話ではないけれど。

そしてこれからますますその空気のなかで、ここで生きていくことを決めた人々の体の輪郭ははっきりしたものになっていくのではないでしょうか?

7年後はオリンピックだそうですが、ますますいろいろな価値観が渦巻きあうこの東京という街はどこに向かうのか?あるいは行き場を失ってしまうのか?そしてそこに住む人々の体の「輪郭」はどう変わっていくのでしょうか?

そして何より自分の体がこの先どうなっていくのか?
私は東京に滞在したこのたった一ヶ月間でさえ、確実に体が変わっていくのを感じています。
それは正直あまり良い方の変化ではありません。

しかし、私には東京でやるべきことがある。その覚悟はしてきたつもりです。たとえそれが私の人生の中での悪い変化だったとしても、そんなこと死ぬ間際にしかわからないことですから、それもまた一つの経験だと考えています。

そして何より幸いなことに、私の活動を支えてくれる人々が、ここ数年で少しずつ東京にも増えました。
そんな人たちと触れ合う中で受ける刺激も私を変化させてくれます。
場所のせいにしたり、人のせいにしたりするのは違って、結局は自分次第。
どこに行こうと、何をしようと、そこでやるべきことを見つけて全力でやる。今はそういう時期なのかもしれません。

今月末まで東京で生きています。
21日~22日は渋谷で。23日は日暮里で出演予定があり、25日はワークショップで、皆さんにお会いできる機会があります。今は少しでも多くの人に触れたいと思っています。
詳細はNEWS欄をチェックしてみてください。

2013/08/30

京極朋彦WS 「身体能力向上委員会」 ~東京編~

この度、京極朋彦は関東での新たなダンサー、俳優との出会いを求めてWSを開催することとなりました。

この「身体能力向上委員会」は京極が京都で行っていたWSシリーズで、このWSを受講していただいた方から京極作品に出演していただいた方もいる、実践型WSです。

内容は普段、僕がやっているボディーワークを中心にシェアし、各自の「身体能力」の向上に生かしていただければ、という会です。

このWSでいう「身体能力」とは、高く飛べることや、ぐるぐる回れると言った、いわゆるダンスのテクニックの事ではなく、人が本来持っている能力、呼吸、発声、広義には「生きること」の中で、いかに自分の体に気付くことが出来るか?その気づきの能力を指します。

今回対象はダンサー、俳優問わず、体を使った表現活動をしている人達とし、特に、自分の「身体能力を向上したい!」と切に願う人の参加をお待ちしております。
今回のWSが普段やっている自分のトレーニングに、少しでもお役にたてれば嬉しいです。


不定期開催で、毎回会場は変わりますが、~東京編~ということで、東京を拠点として活動するダンサー、伊東歌織さんのご協力を得て、東京都内での開催が実現いたしました。
厚く、お礼申し上げます。

新たな出会いを求めて、皆様のご参加をお待ち致しております。

京極朋彦

日時 
9/4(
) 18:4521:45 
9/7() 13:4516:45 
9/25()18:4521:45

会場 いづれも世田谷区近辺にて

料金 1500円

※会場は人数や内容により変更する可能性もございます。その際はメールにてお知らせさせて頂きます。
※当日は動きやすい恰好でお越しください。

ご予約はこちらのメールまで。
kyo59ws@gmail.com

 
京極朋彦(ダンサー・振付家)プロフィール

07年京都造形芸術大学、映像・舞台芸術学科、舞台芸術コース卒業。2006年、大学在学中、卒業制作として上演されたソロダンス『鈍突』が学科最優秀賞、および学長賞を受賞。 45分間、無音で踊られるソロダンス『カイロー』は東京、こまばアゴラ劇場、夏のサミット2010KYOTO EXPERIMENTTPAM in Yokohama 2011Fukuoka Fringe Festival 2012、などに招聘され、国際交流基金支援事業「美的采風 北京 in 2012」 日中ダンス国際会議では、10日間、現地に滞在し、シンポジウム、WSと共に上演された。

WS講師としては2011年から毎年、京都東山青少年活動センター「演劇ビギナーズユニット」、2012年にはNPO法人Yokohama Art Platformのコーディネートによる小学校の授業や、2013年、京都大学との連携で行われた京都、童仙房、夏の学校にてWSを担当。

2012年 自身が振付、演出を手掛ける「京極朋彦ダンス企画」を設立と同時に京都から若手作家の作品発表と交流の場として「KYOTO DANCE CREATION」を立ち上げ、毎夏、京都にて開催している。2012年『talking about it』は同年STspot N.N.N3に選出された他、同年発表の『いったりきたり』はアトリエ劇研共催事業として上演、2013年『理想の森』は京都芸術センター発表支援事業に選出され、京都芸術センター講堂での単独公演を果たした。

2013/08/06

KYOTO DANCE CREATION vol.2 終了と新たなる挑戦

撮影:清水俊洋
 
さて、かなり時間が経ってしまいましたが、先月KYOTO DANCE CREATION vol.2が無事終了しました。詳しくはブログトップのKYOTO DANCE CREATION vol.2を終えてという文章にまとめました。長文ですので、時間のある時にお読みいただければ幸いです。今年も面白かったなぁ~

てことで、終わった後一週間ぐらいは腑抜けになっておりましたが、月末に京都の拠点として家賃のお安い物件に引っ越しました!目の前は田んぼ、物干しには猿というワイルドな京都市、北方面です。上半期から京都と東京を行ったり来たりすることが益々多くなるので、経費削減と心機一転を兼ねて、これからもがんばります!

そして先週は京都のこれまた山奥、童仙房という所にWSに行ってきました。生協の企画する、廃校になった小学校に五歳児から大学生までが入り混じったメンバーが一週間ほど宿泊し、山の暮らしを満喫するという行事で、その中のプログラムの一つとして演劇人に交じってたった一人ダンス担当で行って参りました。

しかし今回のWSは本当に自分が試されました。。。
五歳〜大学生までが、入り混じった12名のチームを2時間でゼロから発表まで持って行くという過酷な現場。
大混乱の中から辛うじて掴んだものが、みるみる皆の目の色が変わっていく瞬間を見れたし、発表一分前まで全力で作りました。もうね、 確実に心臓鍛えられましたよ。。。


しかしながら、森の動物になってみるワークで
「人間が動物になれるわけ無いやん!」といってふざけてばかりいる男の子と徹底的にぶつかれたのはよかったです。 昔の自分やったら諦めて、最後まで闘いきれなかったと思うと、なんやかんややってきて、知らず知らず自分の心臓も鍛えられてきたんやなぁと思います。

 その子は、一番暴れ回った挙句、疲れてダウン、しまいにゃ本番出たくないとゴネて、発表直前にキャスト入れ替えという大手術をして、なんとか皆と同じ舞台に立ったのでした。
僕自身もずっとダンスなんて信じられなかった。だからこそ今でも続けているし、今でも何なのかさっぱりわからない。
けれども僕の周りには僕に声をかけてくれ、僕を成長させてくれた人たちがいました。だから僕はその子に諦めてほしくなかった。信じてみる勇気は大人でも出せない時がある。でもささえてくれる人や、見てくれる人を前にしたとき、信じられるものもあるんだよと、小学生相手に必死で伝えました。
その思いが伝わったのか、 男の子が終わった後に僕の所に来て「出られてよかった」と言ってくれました
僕はきっと一人ではそんなこと言えなかったと思います。その子がいたからこそ僕はそんなことが言えたし、僕はその子に教わったんだと思います。

そんなこんなで気が付いたら8月が始まっていました。来週は東京で久々の『カイロー』やります。詳細はNEWS欄にて。
暑さに負けず、日々進化して行きますので、どうぞよろしくお願いしますっ!



2013/07/15

KYOTO DANCE CERATION vol.2 振付家、団体紹介パート4

さて、いよいよ今週末に迫りましたKYOTO DANCE CERATION vol.2!
振付家紹介も今回でラストです。

ラストを飾るのは、今回唯一、京都から参加の松尾恵美さんです!!
こうして今まで紹介してきた皆さんが、明日から劇場に集結すると思うと、ワクワクします!
皆様に劇場でお会いできるのを楽しみにしております!

松尾恵美さんは私の大学時代の後輩であり、今まで何度か、ダンサーとして京極朋彦ダンス企画の公演にも参加してくれました。
ダンサーとして様々な振付家の作品に出演し、キャリアを積んできた彼女は今回、初めて振付家として作品を作ります。

ダンサーと振付家とは、とても似ているようで、全く異なる職業です。私自身も、ダンサーとして出演する作品、自作自演のソロ作品、自分も踊る振付作品、自分が出ない作品と様々なパターンで作品を創作したことがありますが、やはりやる側と、見る側は決定的に違う景色を見ることになると思っています。

普通、集団で何かするときにはリーダーとメンバーが同じ方向に向かって足並みをそろえるのがセオリーですし、ダンサーと振付家もある程度そうする必要があり、皆が同じ景色を見ていたいと思うのは自然なことです。しかしそれだけが方法ではないというのも事実。 

松尾さんが私の作品に出演してくれた時、ダンサー松尾恵美の見ている景色と、振付家である私の見ている景色はあまりにも違いました。
だからこそ生まれたものも多くありました。ダンスの生成方法は決して一つではないのです。
その時から私は彼女が一体何を見ているのか?今までやる側の景色を見てきた松尾さんが、見る側に回った時、彼女の眼には何が映るのか?その景色を私は見てみたいと思うようになりました。

そして今回、予想外だったのは、松尾さん作品を作るにあたって、見たい景色の中に連れてきた、その登場人物達でした。

二人の屈強な男が、なんだかよくわからないルールの中で暴れまわっている。
これが松尾さんの見たい景色か!?と目を疑いました。
それぞれがバラバラな方向に向かって、好き勝手に暴れまわっている、あるいは、じっとして動かないでいる。何ともシュール。

しかしよく見ればそこには、ダンスに対する鬱憤晴らしのような批評性と、剛腕で猥雑な祈りのようなものが隠されているように見えました。

「運動」と「ダンス」の違いから作品を立ち上げたい。と松尾さんは言います。ただその違いをあらわにするだけでなく、その違いの中に何を見出すことができるのか?それがタイトルの「Fit back ?」(戻りきることができるか?)にも込められていると言います。

そしてひたすら稽古していくうちにダンサーの今村達紀さん、塚原悠也さんの屈強な筋肉は、さらに屈強になっていき、さらには音プランというクレジットで参加している荒木優光さんが、突拍子もない音をかけたりする。稽古場は正にカオスでした。

正直、私は松尾組に関しては、本番直前まで変わっていくと考えています。もしかしたら本番明けてから、毎本番ごとに変わっていく事もありえるでしょう。現時点でレポートできることは、とにかく現場で見てもらわないことには何も語れないということ。それに尽きる気がしています。同時に、プロデューサーとして、それもまた、いいとも思っています。

そもそもKDCは若手振付家のチャレンジの場でもありますし、この時点でバラバラに見える登場人物たちのこの先を、この景色の先を振付家、松尾恵美さんと共に見てみたいと思うのです。

今回、松尾さんの作品が実現することになったのは、常々「作品を作ってみたらどうか」と私が言い続けてきたこととは別に、彼女自身が、踊る事についてふと立ち止まり、深く考え始めたことに端を発します。松尾さんも彼女自身の、その先を見てみたいと切に願っているのです。「今まで自分は踊る事しか考えてこなかった」と松尾さん本人も言っています。その彼女が作品を作るとはどういうことなのか?という問いに、立ち止まっています。

私は、松尾さんは生まれながらのダンサーだと思っているので、今回、様々な角度からダンスを見るという経験によって、今後の松尾さん自身の踊りは確実に変わっていくと思っています。

それは同時に優れたダンサーが誕生するということであり、優れた振付家が優れた作品を創作するために、必要不可欠な存在になっていくという事で、遠回りに見えるかもしれませんが、ダンスの発展に貢献していく事に変わりありません。

今回KDCが松尾さんのチャレンジの場として選んでもらえたことは喜ばしいことですし、そのチャレンジは企画自体の大きな推進力になっています。

事実、彼女のチャレンジに力を貸した屈強な男達と、それを実現しようとするスタッフは皆、松尾さんのチャレンジのその先の景色に向かって走り出しています。

完成されたものだけが人を動かすのではない。その完成に携わりたくなるような魅力が人を引き付けることもある。

ぜひ劇場で、この作品の先にある風景を目撃してください。
なぜなら、このチャレンジの一翼を担うのは観客の皆さん一人一人でもあるのです。

KYOTO DANCE CERATION vol.2 観客参加型トーク開催!!

さて、いよいよ今週末に迫りましたKYOTO DANCE CERATION vol.2!
アフタートークのゲストと概要が出ましたのでお伝えします。
今回は昨年KYOTO DANCE CERATION vol.1に参加いただいた振付家の方々をゲストに迎え、全団体終演後に“観客参加型トーク”を開催いたします。

参加型といっても、観客の皆さんに壇上に立っていただくわけではありません。
むしろ、観客席と壇上の枠をとっぱらい、ざっくばらんに話したいことを話す場として会場を開き、司会者とゲスト、振付家のやり取りではなく、観客の皆さんの感想、質問を中心に行おうという試みです。

というのは今回、京都外からの参加振付家、団体が多く、なかなか京都で見られない作品が集まりました。
作り手である彼ら、彼女らも、なかなか無い京都での上演機会をとても楽しみにしていると同時に、京都での観客の反応、生の声をとても聴きたがっています。それは主宰者である私も同じことです。

まだ作品を作り始めて間もない若手振付家にとって、観客の意見、他者の感想は大きな成長の糧です。しかも普段とは違う場所で、全く新しい観客との出会いはとても貴重なものです。
ぜひ観客の皆さんには、彼ら、彼女らを育てる一言を投げかけてあげてほしいと思うのです。


と言っても、そんなにすぐには、なかなか質問等が出にくいかと思いますので、去年参加していただいた振付家にその先陣を切ってもらうという形で、より多くの感想、質問が行き交う場にしていければと考えております。

参加していただく方々と、スケジュールはコチラです!

7月20日(土)
14:00 佐藤健大郎
19:00 野村香子

21日(日)
13:00 高田麻里子

各回トーク時間は30分です。

ゲストで参加していただく三人は、前回のKDCに参加し、その後も再演や、また違った現場で活躍しているダンサー、振付家の皆さんです。

今回のトークは観客の皆さんの声をより振付家に届けるという目的と共に、振付家同士の交流も目指しております。京都のダンサー、振付家と京都外からの参加者が一堂に会し、交流を深めていく。これもKDCの大きな役割の一つと考えております。

ということで、観客の皆さんには休憩中や、終演後に感想や質問をメモしていただき、終演後のトークに臨んでいただきたいと思います。

強制ではないので、それぞれの楽しみ方で観劇していただいて結構なのですが、「直接、振付家の生の声を聴きたい!」という方「一言物申したい!」という方のご協力をお待ちしております!


2013/07/13

KYOTO DANCE CREATION vol.2 振付家、団体紹介パート3

とうとうKYOTO DANCE CREATION vol.2まで一週間を切りました!
振付家、団体紹介も三組目。
今日は山口から参加の集団:歩行訓練、谷 竜一さんを紹介させていただきます!

集団:歩行訓練、谷 竜一さんと初めて会ったのは、私がTPAM in Yokohama 2011で、ソロダンス『カイロー』を上演した時のアフターパーティーだったと思います。

海外のディレクターや東京、横浜界隈の舞台関係者が多い中で、お互いに地方から参加した者同士、肩を寄せ合ったというか、話があったというか、同じ地方で、同い年で頑張っている仲間がいるという事が、お互いに嬉しかったという思い出があります。
 
そんな矢先、集団:歩行訓練はFESTIVAL TOKYO 2012の公募プログラムに選出され、実際に僕も池袋に公演を見に行きました。
その公演は演劇を使って演劇を批評していくような作品で、あくまでその表現方法は“演劇的”なものでした。私自身も彼らは“演劇を作る集団”だと思っていました。

ところが今回、彼らは“ダンス”を作ると言い始めました。正直、彼らのダンス作品を見たことがなかったし、果たして彼らにKYOTO DANCE CREATIONに参加してもらうという事が、どういうことなのか?プロデューサーとして悩みました。

しかし谷さんが「ダンスを作る」と表明したこと、送られてきたリハーサル映像を見て、私は「自分の知らないダンスの生成方法が見られるかもしれない」と思ったのです。

実際、送られてきた映像を見て、選考委員会のメンバーからは「これはダンスではない」という意見が出たり「ダンサーの体が硬い」という指摘が出たのは事実です。しかし私は映像を見た時点でダンサーの中村洋介さんが基礎のしっかりとした踊れるダンサーであることは一目でわかったし、そのぎこちない体の所以が強固なコンセプトによるものだという事は、容易に想像がつきました。

私は谷さんのF/Tでの作品『不変の価値』を見たときに「谷さんの強固なコンセプトに役者が追い付いていない」と感じていました。
だからこそ今回送られてきた映像に映る、中村洋介さんの体を見た時に「これは谷さんと対等に戦える体が見えそうだ」と思ったのです。

彼のFTでの作品を見ていなければ、今回、参加していただくことには、ならなかったかもしれません。しかしそれは山口を越えて、全国に作品を届けようという谷さんの理念と意気込みの勝利であり、力なのだと思います。

だから実際山口に行って、リハーサルを見ることを、私は本当に楽しみにしていました。
実際、彼らが拠点とするスタジオイマイチはオーナーの自宅兼、宿泊施設兼、稽古場兼、イベントスペースという素晴らしい場所で、なるほど、ここで生まれる作品のクオリティーはここが支えているのかと思うと納得がいきました。
さらにここに滞在して実感した事は、谷 竜一という作家が作品にかける情熱と、それを支える仲間たちの存在でした。

とにかく谷さんはダンサーが感覚的に、あるいは過去の経験から生み出していくような“振付”というものを、ずいぶん遠回りして、こねくり回して、論理的かつ分析的に生み出していきます。
それには恐ろしい時間がかかります。なんとなく作った振りをダンスのセオリーにのせて展開していけば、5分、10分ですぐに出来てしまうようなことを5時間、10時間かけて徹底的に構築していく。納得いかなければ何度でもやる。それが彼の“振付”です。

今回のコンセプトである「地図をつくる」という事について毎日そのコンセプトをダンサーに5分間、喋らせ、それを毎日録画し、そこで語られた言葉をピックアップし、それらをフレーズに分けて、一つ一つに振付をあてて、再びそれを喋らせ、録画し、、、という気がふれるような作業の果てに、全く関係ない振りがぽろっとこぼれ出る。最終的にそれが採用されたりする。というような果てしない作業が稽古場では延々繰り返されていました。

彼の稽古場は画家、あるいは彫刻家のアトリエのようです。果てしなく書き直し、削り取り、また重ねて、何かが立ち上がっていく。その傍らで無造作に散らばった絵具や木くず。不意に窓から、その行為と結果すべてに、等しく光が降り注ぐような瞬間を、その瞬間だけを待ちわびている男のいるアトリエ。まあいいように言えば。
悪く言えば「小難しいことやってんなぁ谷くんは。」といった感じ。

そしてそれらの要求全てを受け入れ、実現して見せる中村さんの凄さと、いい距離感でそこに立ち会うミュージシャンの古富 努さん。この三人の三角関係が図形の証明のように場を立証していきます。しかしその定理は意外とポップだったりして。

実際、今の時点で作品がどんな形で京都に届くのか、4組中、最も謎なのがこの組です。もしかしたら全然、期待外れかもしれない。しかし私は彼の作品を作る姿勢と、その作品がいかにして作られているかも含め、京都に持ってくる意味があると思っています。

今回京都公募にほとんど応募がなかった事に対して、他の地方から同年代が作品を持ってやってくるという事が、京都をもっと面白くすると信じていますし、彼らを見て京都の同年代に火がつけばと考えています。

実際、こうして実際に彼らのリハーサルを見ることで、私自身が一番火がついているのも事実です。

実際、制作環境的には山口には京都ほど情報もなければ、場所もありません。

そんな中で、全国に向けて、あるいは世界に向けて発信していこうとしている人がいるという事に私は勇気をもらうし、尊敬の念を持ちます。
そして互いの作品をケチョンケチョンに批判しあったり、競争し合ったりしたい。

集団:歩行訓練の「:」は常に半角表記にしてくれと、谷さんは言います。
そんな細かいこといいじゃないと思うかもしれませんが、そこが谷クオリティーなのです。私は今回、本当にいい競争相手と巡り合いました。
ぜひ彼らのパフォーマンスを劇場に観に来ていただきたい。心からそう思います。

2013/07/11

KYOTO DANCE CREATION vol.2 振付家、団体紹介パート2

さてさて、KYOTO DANCE CREATION vol.2本番まで10日を切りました!
ということで今日は愛知の暑い男たち、afterimageを紹介します!

私が初めて彼らのパフォーマンスを見たのは、四、五年前。京都の小さなスタジオでした。血気盛んな男達が四人、プロレスとも思えるような激しいコンタクトを駆使し、決して洗練されない、野蛮な、しかしどこか憎めない20分程度の短いパフォーマンス。
そこで初めてafterimageという、実際の彼らのパフォーマンスとはかけ離れた爽やかな団体名と、私と同い年だという振付家、服部哲郎さんを知ることになったのです。

それ以来、服部さんとはWSで出会ったり、フランスのダンスの企画にダンサーとして起用されたという活躍を聞いたりと、直接、関わることはなかったけれど、お互いの存在は知っているという状態が二、三年続いていました。

そんな中、去年のKDC参加振付家、野村香子さんの作品に服部さんがダンサーとして参加することになり、直接話すようになり、afterimage結成十年という節目の作品上演の際には、名古屋まで駆けつける仲になったのでした。 

そして今回、とうとうafterimageは、演出家のトリエユウスケさんと共に、KDCに新作を届けてくれます。
高校卒業の時点から団体を組み、10年という長い月日を経てきた彼らのパフォーマンスは、何とも言えない“味わい”を持っていると、私は思います。

“味わい”と表記したのには訳があります。それは作品的に洗練されているとか、技術が高いとか、新進気鋭という事とは別に、afterimageを見ることは、10年何かを続けた男たちを“味わう”時間であり、その“味わい”はまさに今、成熟の兆しを見せていると思うのです。

先日、初めて彼らのリハーサルにお邪魔させていただいた際の雰囲気は、完全に男子校ノリ。絶妙なボケと突っ込みのバランス。さすが10年と言わざるを得ないコミュニケーションに驚かされました。
どこか危なっかしく、突っ込みどころ満載と見せかけて、急に男気を見せたり見せなかったり。彼らはこうやって今まで作品を作ってきたのかと、その秘密を垣間見る気がしました。

彼らの特徴は振付家と演出家が分かれており、一つの作品を二つの視点で作り出しているという点です。これは日本のコンテンポラリーダンスの現場(特に若手)においてあまり見られない光景です。
今までの彼らの作品はどうやら振付家の服部さんが「こういうことをしたい!」という断片的なピースを作り、それを演出家のトリエさんが繋ぎ合わせ、実現化していくという作業をしてきたと言います。
しかし今回は演出家であるトリエさんが主題を提示し、振付家の服部さんがそれに基づいてピースを作っていくというスタイル。

私はこの環境は実に羨ましいなと思いました。稽古場に二つの目線があり、試行錯誤の幅を広げていること、そしてさらにはダンサーの堀江善弘さん、松竹亭ごみ箱さん(←こういうところが憎めない)が彼らを信頼して参加しているということ。それぞれがそれぞれの経験を持ちより、重ねていく事でafterimageは彼等でなくては成立しないものを目指しています。

しかし私は彼らに一つだけ、偉そうにも問いかけました。それは「afterimageとは何か?」という実にシンプルな事。
彼ら自身、10年の歳月、様々なことがあり、決して平たんな道ではなかったという事は容易に想像できます。
メンバーの話では「自分たちには一体、何が足りないのか?」そのことを様々な人に尋ねた事もあったと言います。しかし本当に必要なのは「何が足りないのか?」ではなく「何があるのか?」「我々には何がある」と言えるのかという事だと私は思うのです。

リハーサルの中で印象的だったのは、ある曲に合わせて服部さんが振付けた振りに対して、別の曲を当ててみたらどうなるか?という実験をしている際の事です。
「この曲だとafterimage的な動きになる」「afterimage的にこの曲はどうなんだろう?」
部外者の私にはわからない「afterimage的」という言葉が飛び交い、どうやらメンバーの共通認識として「afterimage的」な何かというものがあるようでした。

服部さんの振付の緻密さ、堀江さんのダンサーとしての技術力、松竹亭さんの存在感、そしてそんな男達の魅力を独特のユーモアを交え構成していくトリエさんの采配。それらが一体どこに向かい、何を目指しているのか?「afterimage的」とは一体、何なのか?それを思いっきり見せてほしい。と私は思いました。

今まで彼らは稽古場に人を呼んで見てもらう、という事をしてこなかったと言います。
だからこそこの「afterimage的」なるものは門外不出の概念であったのです。

しかし私のような部外者がひょっこり現れたことで、彼らの中で自分達でも本当のところよく見えていなかった「afterimage的」という言葉の意味が少しずつ露わになってきたのではないかと思います。
それは別に私が来たからという事ではなくafterimage10年かけてそれを作り、それを公開することを選び、自ら勝ち得たチャンスなのだと思うのです。

常に新しいもの、新鮮なものが求められるのは、ダンスに限らず、どの業界にもある事です。既に名声を得たもの、定評のあるもの、安定したクオリティーが求められるのも当前のこと。
しかし私はその間にあるもの、これからどう変容していくのかわからないものにワクワクしたいとも思うのです。

私も京都に来て10年の年月が過ぎました。苦しい時期を越えそうなのか、まだまだその道は続くのか、全く分からない。そんな自分自身の道行のさ中に、同じ10年という年月を共に過ごしてきた彼らと出会いました。

afterimageとは何なのか?その問いはそのまま自分自身に返ってきます。「自分には何があるのか?」私も探さなければなりません。今回、私自身もこの問いに晒される機会を得た事、それは逆に私が勝ち得たチャンスでもありました。

だからこそ、この問いに彼らが如何に応えてくれるのかを、私は友人として、そしてライバルとして、誰よりも楽しみにしているのです。