2017/03/14

Kテンペスト2017 終了

Kテンペスト2017が終了しました。


今年の年明けからKAATで始まったリハーサルから一か月に及ぶ長野県松本市での滞在制作を経ての長野ツアー4か所。そしてKAATでの大千秋楽。ここまで長く、集中的な創作の現場は初めてで、しかも普段とは異なるフィールドである演劇の現場は本当に刺激的なものでした。

リハーサルの前半はとにかく「声」に関するインプットと話し合いの時間。とにかく出演者同士が車座になって沢山話をしました。集団で何かを創作するときにそれぞれの能力ももちろん大事ですが、いかにチームとして作業が出来るか?ということはもっと重要で、KAATでの半月間をとにかくチームとしての「下地」を作ることに時間をさけたのは本当に財産でした。
ダンスでもこういう作り方が出来ればいいのですが、限られた時間と場所、予算によって中々このような時間を作るのは東京では難しいように感じます。

そして今回私が一番贅沢に感じたのはプロの役者さん達の「言葉」の扱いに間近に触れることが出来たことでした。
私自身もダンス作品の中で「言葉」あるいは「デタラメ語」を使用することが多々ありますが、今回触れた役者さんたちの扱う「言葉」は根本的にダンスの「言葉」とは違いました。


KAATのリハーサル中にも話したのですが、「言葉」を扱うようになったとき人間はある種の「魔法」を手に入れたのではないか?と思います。「名指す」ことでそこに「存在」生み出す魔法。「嵐!」と言ってしまえばイメージの中で「嵐」が現出すること。それらすべてが演劇の「魔法」であるように感じました。
普段ダンスを生業にしている私にとって「言葉」について、「発話」について、「演劇」について学ぶことが沢山ありました。

そして、意外だったのは串田さんの作品の作り方は、少しダンスに近い部分があったことです。
俳優である以前に一人の人間であり、人類の一部、自然界の一部でもあるというスケール感。表情や感情みたいなこと以外に強くイメージを持つこと。そしてある時は「形」から入り、ある時は「感情」から形をつくること。(ここら辺は振付に近いものがあります)そしてフィクションの位相を行き来する自由さ。ありとあらゆる手段が許されるような現場でした。
これってとってもダンスの現場に近い気がして、演劇素人の私も何とか食らいついていけたような気がします。

また、同世代の役者さん、大先輩の役者さん、ミュージシャン、スタッフの皆さんと同じ演目を出来たことは本当に楽しかったです。
大先輩が楽屋でポロッと演技のアドバイスを下さったり、ミュージシャンの方が踊り用に作曲してくださったりして、本当にありがたい時間を過ごさせていただきました。

そして旅先では一緒にご飯食べたり、全然関係ない話を沢山して、何というか、10年ダンスを必死でやってきたご褒美が意外な形で返ってきたような、幸せな時間でした。
そして松本の劇団「TCアルプ」の皆さんに出会えたことも僕にとっては財産です。
自分も東京出身で京都に10年住み、今再び東京で活動している身なので、都市と地方に関して思うとは多々ありますが、彼等の背中から沢山のことを学んだ気がします。


と、まあ書き出したらきりがないのですが、一先ずの一区切り。
明日からまた違う海に航海に出発します。
実は今回の演目に参加したことによって生まれた新しい企画も動き出しました。追々その情報もブログで公開できると思います。
今後の出演、振付情報をNEWS欄に記載しました。サボりがちなブログですが、ちょいちょい更新しますので、ぜひチェックしてみてください!!